この記事のネタバレ
「最近、不安がひどくて困っている。」
「自然療法って本当に効果あるの？」
「心理療法以外の不安治療法を試してみたい。」
今回は日常的に不安感・不安症状に悩まされている人達に向けた記事です。
不安に悩むあなたへ、アシュワガンダを含む自然療法が効果的な解決策となるかもしれません。
今回の記事では、アシュワガンダが不安感を軽減した研究結果について解説しています。
この記事を読めば、アシュワガンダの摂取を通じて少しでもあなたのメンタルヘルスが改善する可能性があります。
ぜひ最後まで読んでみて下さい。
そもそもアシュワガンダとは
アシュワガンダ（学名：Withania somnifera Dunal）は、数千年前からインドの伝統医療『アーユルヴェーダ』において、心身のストレスに効果を発揮する薬や強壮剤、更には媚薬としても活躍してきたハーブです。
今日では様々な臨床研究を通じ、それらの効果が現代科学にて証明され注目を浴びています。
実物はナス科の常緑低木です。馬の（アシュワ）匂い（ガンダ）が名前の由来。
馬の強壮な精力にちなんだという説も。
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論文の基礎情報
今回ご紹介する論文は、「不安に対する自然療法：無作為化比較試験 ISRCTN78958974（和訳）」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | Naturopathic care for anxiety: a randomized controlled trial |
| 著者 | Cooley K, Szczurko O, Perri D, Mills EJ, Bernhardt B, Zhou Q, Seely D |
| 掲載雑誌 | PLoS ONE |
| 掲載年 | 2009 |
はじめに：研究の背景と目的
はじめに、この研究の背景と目的について、下記内容で紹介します。
この研究の背景と目的
- 不安症状の背景
- 研究目的
不安症状の背景
不安症状は、私たちの健康に深刻な影響を与える問題で、生活の質にも大きな負担をもたらします。
- 不安症状
-
心配や恐れ、緊張感が過剰になり、日常生活に悪影響を与える状態。
心身の不調やストレスから引き起こされることが多く、対処方法としては、リラクセーション法や運動、カウンセリングなどがあります。
さらに、不安症状は、医療費や雇用者への給付金、仕事での力が出ないための休暇など、経済的コストの増大にも繋がります。
研究目的
この研究では、自然療法が不安症状にどの程度効果があるかをランダム化比較試験を用いて調査することを目的としています。
- 自然療法
-
自然療法とは、自然界に由来する治療法や療養法を用いて、心身の健康を回復・維持する医療アプローチのこと。
ハーブや食事療法、マッサージ、アロマセラピーなどが含まれます。
これらの方法は副作用が少なく、体全体のバランスを取り戻すことを目指しています。
- ランダム化比較試験
-
治療効果を客観的に評価するための研究方法。
参加者を無作為に複数の治療群に割り振り、異なる治療法の効果を比較する。
今現在、多くの患者が、従来の不安治療法とは別の代替療法や補完療法を求めています。
そのため、今回の研究でピックアップする自然療法の有効性や安全性についての情報は、医師や一般の人々が適切な判断を下す上で非常に重要。
- 代替療法・補完療法
-
従来の医学の一部とは見なされていない多様な医療および保健慣行のグループ。
これらの療法は、従来の治療法と併用して行われることがある（補完）し、あるいはそれらに代わるものとして用いられる（代替）ことがあります。
代替療法・補完療法の例としては、鍼治療、漢方薬、ヨガ、瞑想が挙げられます。
研究方法
今回の研究方法について、下記の内容でご紹介します。
研究方法
- 参加者の選定
- ランダム化と割り付け
- 自然療法群の治療内容
- 標準心理療法群の治療内容
- 評価指標
- 実施期間
参加者の選定
この研究では、6週間以上続く中程度から重度の不安症状を持つ従業員を対象としました。
- 不安症状
-
心配、恐怖、不安感を伴う感情。
軽度から重度までの範囲があり、症状の重さによっては日常活動に支障をきたすことがあります。
ランダム化と割り付け
年齢と性別に基づいて、参加者を自然療法群（NC群）41名と標準心理療法群（PT群）40名にランダムに割り付けました。
割り付け時に、調査者と参加者の両方をブラインド化しました。
- ブラインド化
-
臨床試験でバイアスを減らし、結果が信頼できることを確保するために用いられる研究手法。
ブラインド化された研究では、参加者や研究者、あるいは両方が、参加者がどの治療群に属しているか（例えば、実験群か対照群か）知らない状態にします。
期待や先入観が研究結果に影響を与えることを防ぐことが可能です。
自然療法群の治療内容
NC群（アシュワガンダ投与群）の参加者は、下記の治療内容を受けました。
自然療法群の治療内容
- 食事指導
- 深呼吸によるリラクゼーションテクニック
- 一般的なマルチビタミン
- アシュワガンダ（1日2回、1回300mg、1.5%のWithanianolides）
標準心理療法群の治療内容
一方、PT群（標準心理療法群）の参加者は、下記の治療内容を受けました。
標準心理療法群の治療内容
- 心理療法
- 深呼吸によるリラクゼーションテクニック（NC群と同様）
- プラセボ薬の投与
- プラセボ薬
-
有効成分が含まれていない、効果のない薬のこと。
治験や研究で実際の治療薬と比較するために用いられます。
- プラセボ効果
-
治療が本来効果がないにもかかわらず（砂糖錠や生理食塩水の注射など）、その治療に対する信念によって人の症状が改善される現象。
プラセボ効果は、人の期待、医者と患者の関係、暗示の力などの要因に影響されると考えられています。
評価指標
主要評価指標として、Beck Anxiety Inventory（BAI）を用いて不安症状を評価しました。
- Beck Anxiety Inventory（BAI）
-
過去1週間の不安の程度を評価するための自己報告式アンケート。
21の項目からなり、それぞれの項目は4段階の評価尺度で評価されます。
BAIは、不安の症状を客観的に評価するために広く使用されており、研究や臨床診断のツールとして信頼性と妥当性が認められています。
副次評価指標として、下記の3つを用いて、それぞれ不安、メンタルヘルス、および生活の質を評価しました。
評価指標
- Short Form 36（SF-36）
- Fatigue Symptom Inventory（FSI）
- Measure Yourself Medical Outcomes Profile（MY-MOP）
これらの手法をサブとして加えることで、全体としてより研究結果の情報の信頼度が上がるわけですね。
- Short Form 36（SF-36）
-
生活の質を測定するために広く用いられる標準的なアンケート。
このアンケートは、身体的健康、精神的健康、社会的機能、ロール機能（職業・家庭での役割）、痛み、全般的健康感、活力、および心理的幸福感など、8つの健康に関連する次元を評価します。
SF-36は、治療効果や介入の影響を検討するために、医療研究でよく使用されています。
- Fatigue Symptom Inventory（FSI）
-
疲労に関連する症状を評価するためのアンケート。
FSIは、疲労の重さ、持続時間、影響、およびその他の関連する症状を測定し、さまざまな疾患や状態の患者で疲労の経験を評価するために使用されます。
FSIは、疲労の治療や介入の効果を評価する医療研究で一般的に用いられています。
- Measure Yourself Medical Outcomes Profile（MY-MOP）
-
患者自身が主観的な健康状態を評価するためのアンケート。
このアンケートは、患者が最も重要だと感じる症状や問題を特定し、その重要度と改善度を評価することができます。
MY-MOPは、患者の視点から治療の効果や生活の質の変化を捉えることができるため、治療介入の効果を評価する臨床研究でよく使用されます。
参加者はプラセボ対照の介入に対してブラインド化されました。
- ブラインド化
-
臨床試験でバイアスを減らし、結果が信頼できることを確保するために用いられる研究手法。
参加者や研究者、あるいは両方が、参加者がどの治療群に属しているか（例えば、実験群か対照群か）知らない状態にします。
これにより、期待や先入観が研究結果に影響を与えることを防ぐことが可能。
実施期間
この研究は12週間にわたって実施されました。
約2ヶ月ですね。
実験結果
今回の研究結果について、下記の内容でご紹介します。
研究方法
- 参加者のフォローアップ
- Beck Anxiety Inventory（BAI）による不安の評価
- 副次評価指標による生活の質の評価
- 有害事象の報告
参加者のフォローアップ
試験の8週目以降、75名の参加者（全体の93%）が追跡調査を受けました。
Beck Anxiety Inventory（BAI）による不安の評価
試験終了時のBAIスコアは、NC群で56.5%減少（p<0.0001）、PT群で30.5%減少（p<0.0001）しました。
また、NC群とPT群のBAIスコアには有意な差があり（p=0.003）、NC群の方が不安症状の改善が大きかったことが示されました。
副次評価指標による生活の質の評価
NC群とPT群の間で、メンタルヘルス、集中力、疲労、社会的機能、活力、全体的な生活の質においても有意な差が観察されました。
有害事象の報告
どちらの群においても、重大な有害事象は報告されませんでした。
この研究の意義
改めて、この研究の意義は下記の2つが挙げられます。
この研究の意義
- 自然療法に対する関心
- 自然療法の有効性と安全性に関する情報の重要性
自然療法に対する関心
冒頭で述べた通り、多くの患者が、従来の不安治療法に対して代替療法や補完療法を求めています。
しかし、これまで自然療法を用いた不安治療の効果について評価した研究はありませんでした。
そのため、今回の研究が自然療法が不安治療に対し有用であることを証明したという意義は非常に大きいと言えます。
自然療法の有効性と安全性に関する情報の重要性
自然療法や天然健康製品の効果、安全性、リスクに関する知識は、医師や一般の人々にとって重要です。
これにより、適切な判断を下すための情報が得られます。
単純に、不安症状に対する療法の選択肢が増えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最後に今回の記事の内容をまとめて締めたいと思います。
この記事のまとめ
この研究では、自然療法と心理療法が不安症状の改善に効果的であることが示されました。
特に、アシュワガンダを含む自然療法は、心理療法に比べて不安スコアの減少が顕著でした。
また、生活の質に関する副次評価指標も自然療法群で有意な改善が見られました。
重大な副作用は報告されておらず、自然療法は安全な選択肢といえます。
今回の記事は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。 それでは。
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