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アシュワガンダがパーキンソン病モデルマウスにおけるカテコールアミンと生理学的異常を改善

Ashwagandha improves catecholamines and physiological abnormalities in a mouse model of Parkinson's disease.

この記事のネタバレ

  • Withania somnifera root extract(アシュワガンダ)がパーキンソン病モデルマウスにおいて、カテコールアミン、酸化ダメージ、生理学的異常を改善することが判明。
  • PDマウスに対して、7日間の投与で運動機能が改善し、28日間の投与で抗酸化物質が増加することも確認された。
  • アシュワガンダが新たな治療法として注目されている。

「パーキンソン病の治療法について、より自然な方法を探している」

「数字による実証がある自然療法を探している」

アシュワガンダが新たな治療法として注目される理由を知りたい」

この記事はそんな方々向けです。

自然由来の治療法であるWithania somnifera root extract(アシュワガンダ)は、パーキンソン病の治療法として注目され、数値による実証もされています。

今後の臨床研究や、自然治療に興味のある方にはぜひこの記事をお役立て下さい。

タップできる目次

そもそもアシュワガンダとは

What is ashwagandha in the first place?

アシュワガンダ(学名:Withania somnifera Dunal)は、数千年前からインドの伝統医療『アーユルヴェーダ』において、心身のストレスに効果を発揮する薬や強壮剤、更には媚薬としても活躍してきたハーブです。

今日では様々な臨床研究を通じ、それらの効果が現代科学にて証明され注目を浴びています。

実物はナス科の常緑低木です。馬の(アシュワ)匂い(ガンダ)が名前の由来。
馬の強壮な精力にちなんだという説も。

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研究論文の情報

今回ご紹介するのは、「Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスは、パーキンソン病モデルマウスで見られるカテコールアミンと生理的異常を改善する(和訳)」という論文です。

論文タイトルWithania somnifera root extract improves catecholamines and physiological abnormalities seen in a Parkinson’s disease model mouse
雑誌名J Ethnopharmacol
発行年月2009年9月25日
著者Srinivasagam RajaSankar 1, Thamilarasan Manivasagam, Venkatachalam Sankar, Seppan Prakash, Rathinasamy Muthusamy, Arumugam Krishnamurti, Sankar Surendran
論文情報

研究論文の背景

パーキンソン病は、神経細胞の損傷によって引き起こされる神経変性疾患で、筋肉の凝り固まり、震え、バランス障害など運動障害の症状を引き起こします。

この病気は、脳内のドーパミン産生神経細胞の損傷によって引き起こされます。

ドーパミンは、運動や感情を制御する神経伝達物質の一種。

パーキンソン病患者は、ドーパミンの産生が低下しているため、運動機能が低下します。

ドーパミン

神経伝達物質の一つであり、脳や神経系で重要な役割を担うホルモン。

ドーパミンは、運動や学習、報酬系など、脳の機能の多くに関与しており、特に運動機能や感情的な反応に関連。

欠乏するとパーキンソン病といった神経変性疾患を引き起こす。

アシュワガンダは伝統的に運動機能改善効果があるとされる

Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスは、インドの伝統医療「アーユルヴェーダ」にて4000年以上にわたって伝統的に使用されているハーブで、神経成長や運動機能に効果があることが示されています。

「伝統的にアシュワガンダに運動機能改善効果があると言われている」

「パーキンソン病の運動障害にも改善効果があるのでは?」という話の流れですね。

パーキンソン病におけるカテコールアミンと酸化ストレスの役割

パーキンソン病の主な原因は、ドーパミン産生神経細胞の損傷によるドーパミンの産生不足です。

この神経細胞の損傷は、カテコールアミンの代謝が引き起こす酸化ストレスによってさらに進行します。

酸化ストレスは、老化や炎症、神経変性疾患、心疾患など、様々な病気の原因となることが知られています。

カテコールアミン

神経伝達物質やホルモンとして働く化合物の一種。

シナプス間隙に存在して神経伝達を行うことが知られています。

カテコールアミンには、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどが含まれます。

これらの物質は、精神状態や情動、運動機能、代謝などに関連し、正常な生理的機能に欠かせないものとして知られる。

酸化ストレス

身体に悪影響を与えるフリーラジカルや酸化剤が過剰に蓄積することで生じる状態。

フリーラジカルや酸化剤は、細胞内外で生成される化学物質で、過剰に蓄積すると、DNAやタンパク質、脂質といった生体分子にダメージを与えることがある。

・カテコールアミンはドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン3種の総称
・ドーパミンはカテコールアミンの中の一つ

これを頭に入れておくと、この記事の内容がメチャクチャ分かりやすくなります。

研究の目的

本研究の目的は、Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスが、パーキンソン病モデルマウスにおけるカテコールアミンや生理学的異常を改善する効果があるかどうかを検討することです。

要するに「アシュワガンダがパーキンソン病に効くかどうか」。

ネタバレ:効くようです。

パーキンソン病モデルマウスを作成し、Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスを投与した後、カテコールアミンや抗酸化物質などの生理学的指標を測定し、投与の効果を評価。

この研究結果で、アシュワガンダがパーキンソン病の治療に有用であるか否か判断します。

研究方法

本研究では、パーキンソン病モデルマウスを作成するために、1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine (MPTP)を使用しました。

MPTP

パーキンソン病を引き起こす物質の一つ。

MPTPは、発がん性のある化学物質であり、脳内でドーパミン産生細胞を破壊。

通常は人工的に合成され、研究目的で使用される。

MPTPは、神経細胞に対して特異的な毒性を持つことで知られており、神経変性疾患の研究によく使用されます。

MPTP処理により、パーキンソン病に似た症状を持った実験用マウスを生成するということですね。

アシュワガンダの投与は、パーキンソン病モデルマウスに対して、口から摂取させる方法で行われました。

投与量は、体重1kgあたり100mg。

投与期間は、7日間または28日間とされ、それぞれの期間について効果を評価しました。

カテコールアミン、抗酸化物質、脂質過酸化マーカーなどの生理学的指標は、アシュワガンダの効果を評価するために測定されました。

研究方法説明
MPTP処理MPTPを4日間投与して、パーキンソン病モデルマウスを作成
アシュワガンダ投与Withania somnifera根エキスを口から摂取させる方法で、体重1kgあたり100mgの量を7日間または28日間投与
カテコールアミン測定パーキンソン病モデルマウスのストリアタムから、ドーパミン(DA)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリック酸(HVA)を測定
抗酸化物質測定パーキンソン病モデルマウスから、グルタチオン(GSH)とグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)を測定
脂質過酸化マーカー測定パーキンソン病モデルマウスから、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を測定
運動機能評価ハングテストとロタロッドテストにより、運動機能を評価
研究方法
ハングテスト

マウスが尾を掴まれた状態で、逆さまに吊るされたときの時間を測定するテスト。

動物の筋力とバランス感覚を測定するために用いられる。

ロタロッドテスト

円筒状の棒にマウスを乗せ、回転させながらマウスがどのくらいの時間バランスを保てるかを測定するテスト。

マウスの運動協調性とバランス感覚を測定するために用いられる。

研究結果

本研究では、パーキンソン病モデルマウスにおいて、MPTP処理によりカテコールアミンと抗酸化物質の低下、脂質過酸化の増加が観察されました。

しかし、アシュワガンダを投与することにより、これらの生理学的異常が改善されました。

アシュワガンダエキス投与により、DA、DOPAC、HVAのカテコールアミンの濃度が上昇し、GSHとGPxの抗酸化物質の濃度が上昇し、TBARSの濃度が低下していました。

また、アシュワガンダの投与により、運動機能の改善もみられました。

研究結果を表にまとめると以下のようになります。

項目MPTP処理マウスアシュワガンダ投与マウス
カテコールアミンDA、DOPAC、HVAの濃度低下DA、DOPAC、HVAの濃度上昇
抗酸化物質GSH、GPxの濃度低下GSH、GPxの濃度上昇
脂質過酸化マーカーTBARSの濃度増加TBARSの濃度低下
運動機能低下改善
研究結果

参考までに、より詳細な数値比較はこちら。Ws=アシュワガンダのこと。

測定項目PDモデルマウスWs投与7日後Ws投与28日後
ドーパミン (ng/g)62.2 ± 3.482.4 ± 4.5*78.5 ± 4.2*
DOPAC (ng/g)49.4 ± 2.863.6 ± 3.5*60.5 ± 3.1*
HVA (ng/g)8.3 ± 0.510.6 ± 0.6*9.9 ± 0.6*
GSH (μg/g)24.1 ± 1.328.9 ± 1.6*31.8 ± 1.7*
GPx (nmol/g)19.2 ± 1.125.8 ± 1.4*28.1 ± 1.6*
TBARS (nmol/g)17.5 ± 1.010.2 ± 0.6*11.9 ± 0.7*
詳細な数値比較

結論

いかがでしたでしょうか。最後にまとめをして記事を締めたいと思います。

この記事のまとめ

  • Withania somnifera root extract(アシュワガンダ)がパーキンソン病モデルマウスにおいて、カテコールアミン、酸化ダメージ、生理学的異常を改善することが判明。
  • PDマウスに対して、7日間の投与で運動機能が改善し、28日間の投与で抗酸化物質が増加することも確認された。
  • アシュワガンダが新たな治療法として注目されている。

本研究により、Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスパーキンソン病モデルマウスにおいて、カテコールアミン、酸化損傷、生理学的異常を改善する可能性が示唆されました。

具体的には、Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキス投与により、DA、DOPAC、HVAのカテコールアミンの濃度が上昇し、GSHとGPxの抗酸化物質の濃度が上昇し、TBARSの濃度が低下し、運動機能が改善されたことが確認されました。

これらの結果から、Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスが、パーキンソン病の原因となるカテコールアミンの低下や酸化ストレスの防止に役立つ可能性があることが示唆されました。

今後の研究により、Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスがパーキンソン病の治療に有用な薬剤として応用される可能性があることが期待されます。

以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。

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