この記事のネタバレ
- アシュワガンダに肝毒性の疑いは「ある」
- 発症自体は非常に稀
- 用法用量を守る&不安なら医師の判断を仰ぐ
「アシュワガンダに肝毒性があるって聞いた」
「肝毒性が発症する条件は?」
「発症するのはどれくらいの確率?」
今回は、アシュワガンダに肝毒性の疑いが持たれた事例を日本のケースと海外のケースをそれぞれ紹介していきます。
この記事を読めば、アシュワガンダの肝毒性リスクをしっかりと理解して運用できるようになります。
よければ最後まで読んでみてください。
そもそもアシュワガンダとは
アシュワガンダ(学名:Withania somnifera Dunal)は、数千年前からインドの伝統医療『アーユルヴェーダ』において、心身のストレスに効果を発揮する薬や強壮剤、更には媚薬としても活躍してきたハーブです。
今日では様々な臨床研究を通じ、それらの効果が現代科学にて証明され注目を浴びています。
実物はナス科の常緑低木です。馬の(アシュワ)匂い(ガンダ)が名前の由来。
馬の強壮な精力にちなんだという説も。
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肝毒性障害とは
まず、「肝毒性障害(肝障害)」という症状について確認しましょう。
薬物性肝障害とは、医療機関で処方されたおくすりやドラッグストアで購入できるおくすり、サプリメントなどが原因となり起こる肝臓の炎症です。
薬物性肝障害 – 肝臓の病気 | よくわかる肝臓の病気「疾肝啓発」
報告された症例
それでは、アシュワガンダの摂取で報告された副作用の事例を紹介していきます。
日本:20歳 男性
まず、日本であったアシュワガンダと肝毒性の事例をご紹介します。
まずは日本の事例から。
症例は 20 歳,男性.社交不安障害の治療中に全身倦怠感と黄疸が出現し,入院した.
自己判断で抗ストレス・強壮目的にアシュワガンダと複数の処方箋薬を併用していたが,入院 1カ月前からアシュワガンダを過剰摂取していた.
DDW-J 2004 薬物性肝障害診断基準では 8 点「可能性が高い」となり,アシュワガンダによる肝細胞障害型の薬物性肝障害と診断したが,本製品及び併用薬の中止後,肝酵素は低下するも高ビリルビン血症は増悪し,中止 1 カ月後に TBil 31.3 mg/dL となった.
(中略)
薬物性肝障害において,起因薬物中止後も肝内胆汁鬱滞が増悪することは少なく,またアシュワガンダによる肝障害の報告事例はない.
アシュワガンダは無承認無許可医薬品であり,販売実態の調査や不適切使用について注意喚起が必要である.
肝臓第58巻第8号
日本肝臓学会から発行されている、アシュワガンダの副作用・健康被害で最も有名な案件。
「アシュワガンダは肝毒性がある」とネットで警告される主な要因。
ただ、元の記事をよく見てみると、記事の後半に下記の記載があります。
元記事の要約
- 自己判断の併用薬の種類が多数&用法用量も様々
- 原因薬物の特定に苦慮
- 併用薬も肝障害を惹起した可能性は否定できない
つまり、あくまでも「アシュワガンダの服用を止めたら改善したから、アシュワガンダを原因とした」というニュアンス。
「併用薬も肝障害を惹起した可能性は否定できない」という記載も。
また、「自己判断で不規則に内服していた」薬も下記のように非常に多くなっています。
上記の薬(ほとんどが精神安定系)に加え、アシュワガンダを1ヶ月くらい通常の用法用量の2-3倍飲んでいたとのこと。
用法用量も自己流でバラバラだったとのこと。
普通の運用方法ではありません。
上記を見てもらえれば分かる通り、一般的には絶対に行わない運用方法で服用。
元記事にも「アシュワガンダによる健康被害報告はあるが、肝障害についての報告事例はみつからなかった」と元資料にも記載。
ですので、この案件だけでは必ずしも「アシュワガンダには肝毒性がある!危険!」とはいえないというのが個人的見解です。
ただし、後述するアイスランドとアメリカの研究結果を考慮すると、やはりアシュワガンダ自体にも肝毒性の疑いがあります。
アメリカ・アイスランド:平均年齢43歳 男女5名
アイスランドとアメリカの事例。
合計5つの事例をまとめて分析し、きっぱりと「アシュワガンダに肝毒性の疑いがある」と断言。
前述した日本の事例とは逆ですね。
被験者は21歳〜62歳の男女(男3名・女2名)で、いずれも「アシュワガンダ+肝毒性のないサプリ」を2〜12週間のあいだ摂取していました。
概要を見てみましょう。
アシュワガンダを含むサプリメントに起因する肝障害の5例が特定されました。
2017年から2018年にアイスランドで3件、2016年に薬物誘発性肝障害ネットワーク(DILIN)から2件が収集されました。
その他の肝障害の原因は除外されました。
アシュワガンダ誘発性肝障害:アイスランドと米国の薬物誘発性肝障害ネットワークからの症例シリーズ
元記事のポイントは下記の3点。
黄疸および悪心、倦怠感、そう痒症および腹部不快感を併発。
数週間の潜伏単位を経て発症。
アシュワガンダの服用中止後、数ヶ月以内に全員が正常化したとのことです。
ちなみに、この事例では5人のうち1人はその後が追跡不能になり、最終的に4名に。
残った4人はアシュワガンダとその他の健康系サプリを服用していたとのこと。
その他サプリはそれぞれの被験者でバラバラ。
つまり、「アシュワガンダ+肝毒性のないサプリを併用」して肝障害が発症という例が5件も発生しました。
そのため、本事例では「アシュワガンダに肝毒性の疑いがある」と結論づけています。
非常に稀ではあっても、アシュワガンダには肝毒性があると考えられます。
「2016年〜2018年の間でアイスランドとアメリカで合計5件」を、「多い」と考えるか「少ない」と考えるかは個人の価値観によります。
わたし個人は「少ない」と思います。全体の数%にも満たないでしょう。
ただ、重ねて言うようですがアシュワガンダにはやはり肝毒性の疑いがあります。
不安な方は、服用する前に医師に相談するか、服用してみて体調が悪くなるようなら即座に服用をやめましょう。
用法用量も常識の範囲内で守ること。
まとめ:肝毒性の疑いは「ある」
最後にもう一度、この記事のまとめをして締めます。
この記事のまとめ
- アシュワガンダに肝毒性の疑いは「ある」
- 発症自体は非常に稀
- 用法用量を守る&不安なら医師の判断を仰ぐ
「用法用量を守り、医師の判断を仰ぐ」これが確実。
以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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