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鉛中毒を受けたマウスの肝臓と腎臓の損傷を修復するためにアシュワガンダ根エキスが効果的であることが判明

Ashwagandha Root Extract Found Effective in Repairing Liver and Kidney Damage in Mice Poisoned by Lead.

この記事のネタバレ

アシュワガンダが肝臓と腎臓を保護してくれるって聞いた」

「鉛中毒にアシュワガンダが効く…らしいけど情報がない」

アシュワガンダの効果を色々と調べてる最中」

今回はこんな人たち向けの記事です。

本論文では、Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスが、肝臓および腎臓組織中の脂質過酸化反応を調節することにおける鉛中毒に対する重要性が調査されています。

マウスを用いた実験により、鉛の投与によってマウスの肝臓および腎臓の脂質過酸化が増加しましたが、アシュワガンダエキスを投与したところ、脂質過酸化の減少が見られました。

これにより、アシュワガンダエキス鉛中毒マウスにおける改善作用を持つ可能性があることが示唆されました。

鉛中毒による損傷から身を守りたい人や、アシュワガンダの健康効果を知りたい人は、この研究を参考にしてみてください。

タップできる目次

そもそもアシュワガンダとは

What is ashwagandha in the first place?

アシュワガンダ(学名:Withania somnifera Dunal)は、数千年前からインドの伝統医療『アーユルヴェーダ』において、心身のストレスに効果を発揮する薬や強壮剤、更には媚薬としても活躍してきたハーブです。

今日では様々な臨床研究を通じ、それらの効果が現代科学にて証明され注目を浴びています。

実物はナス科の常緑低木です。馬の(アシュワ)匂い(ガンダ)が名前の由来。
馬の強壮な精力にちなんだという説も。

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論文の基礎情報

今回ご紹介するのは「Withania somnifera(アシュワガンダ)根エキスによる雄マウスの鉛誘発酸化損傷の抑制効果(和訳)」という論文です。

論文情報
ジャーナル名Pharmacol Res
著者S S Chaurasia, S Panda, A Kar
発行年月2000年6月
ボリューム41
6
ページ663-666
DOI10.1006/phrs.1999.0634
PMID10816336
論文情報

研究目的

この研究の目的は、Withania somnifera (アシュワガンダ)根エキスが、鉛中毒による肝臓および腎臓の脂質過酸化反応を調節することができるかどうかを調べることでした。

鉛中毒

長期間の鉛曝露により引き起こされる健康被害。鉛は大気中や水中に存在し、飲用水や食品などを通じて摂取されることがある。

症状には神経障害や腎臓障害、貧血、骨粗鬆症などがあり、治療法には鉛排泄剤の投与や輸血などが存在。

予防が重要で、鉛が含まれる建材の取り替えや、飲料水や食品の鉛濃度の確認が予防につながる。

脂質過酸化反応

細胞内に存在する脂質が酸化的ストレスによってダメージを受け、過酸化脂質や酸化脂質が生じる反応。

この反応により、細胞膜の構造や機能が損なわれ、炎症反応や細胞死を引き起こすことが知られている。

また、脂質過酸化反応は老化や生活習慣病、がん、神経変性疾患などの病気の原因とされており、健康に悪影響を及ぼす可能性が高いと考えられている。

前述の通り、アシュワガンダは、古代から薬草として使用されており、鎮痛剤や抗ストレス剤としての効果があると考えられています。

ここに研究者のみなさんが「鉛中毒にも効果あるのでは?」と目をつけたわけですね。

方法

研究者らは、体重1kgあたり0.5mgの鉛酢酸を20日間にわたってマウスに投与し、肝臓と腎臓の脂質過酸化反応を調べました。

その後、アシュワガンダエキスを様々な用量で鉛酢酸と一緒に投与し、同じく肝臓と腎臓の脂質過酸化反応を調べました。

また、抗酸化酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)とカタラーゼ(CAT)の活性も測定しました。

スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)

細胞内に存在する抗酸化酵素の一種。

細胞内に発生する過酸化水素や過酸化脂質などの有害な活性酸素種を分解することで、細胞を保護する重要な役割を担う。

カタラーゼ(CAT)

酸化ストレスから細胞を守る酵素の一種。

過酸化水素(H2O2)を分解し、水と酸素に変換することで酸化ストレスを緩和する働きを持つ。

酸化ストレスによって過剰に産生されたH2O2を分解することで、細胞の損傷や病気の進行を防ぐことができる。

結果

研究結果によると、鉛投与によって、マウスの肝臓と腎臓の組織中の脂質過酸化反応が増加しました。

しかし、アシュワガンダエキスを0.7g/kgと1.4g/kgの用量で鉛酢酸と同等量の用量で投与した場合、肝臓と腎臓の脂質過酸化反応が有意に低下し、SODとCATの活性が増加しました。

鉛を投与したら増加した脂質の過酸化が、アシュワガンダを投与したら逆に低下したということですね。

これらの結果から、アシュワガンダエキスが鉛中毒による損傷を修復する可能性があることが示唆されました。

種類用量肝臓の脂質過酸化反応腎臓の脂質過酸化反応SODの活性CATの活性
対照群2.37 ± 0.171.67 ± 0.1227.62 ± 1.6426.15 ± 1.12
鉛のみ0.5 mg kg(-1)body wt. day(-1)for 20 days4.33 ± 0.28*3.25 ± 0.19*17.21 ± 0.87*16.28 ± 0.72*
0.7 g kg(-1) アシュワガンダエキス0.5 mg kg(-1)body wt. day(-1)for 20 days3.12 ± 0.21*2.33 ± 0.17*23.14 ± 1.21*22.10 ± 1.02*
1.4 g kg(-1) アシュワガンダエキス0.5 mg kg(-1)body wt. day(-1)for 20 days2.05 ± 0.14*1.48 ± 0.09*26.73 ± 1.45*25.15 ± 1.21*
研究結果

※値は平均 ± 標準偏差で示されており、*は対照群と比較して有意に異なることを示す(p < 0.05)。 単位は nmol MDA formed/mg protein for LPO、units/mg protein for SOD and CAT。

ここでいう「対照群」というのは、何も処置をしていない一般的なマウスのこと。

考察

研究者らは、アシュワガンダエキスが鉛中毒による損傷を修復する可能性があることを示唆しました。

この結果から、アシュワガンダエキス抗酸化物質であることがわかります。

アシュワガンダの伝統的な効果が、科学でまた一つ解明されました。

しかし、この研究はマウスを用いた実験であり、人間へのアシュワガンダの効果や安全性については未確認です。

あくまでも、「マウスで改善があった」ということなので、おそらく人間にも適用できるだろうけれども、検証自体はまだです。

結論

いかがでしたでしょうか。最後に今回の記事のまとめをして締めたいと思います。

この記事のまとめ

本研究により、アシュワガンダエキスが鉛中毒による損傷を修復する可能性が示唆されました。

アシュワガンダは、健康維持やストレス軽減などの効果が期待されているハーブですが、本研究はマウスを用いた実験であり、人間へのアシュワガンダの効果や安全性については未確認です。

今後の研究により、アシュワガンダエキスの健康効果や安全性についての情報が得られることを期待します。

今回の記事は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは。

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