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アシュワガンダ:神経変性疾患への新たな光?ショウジョウバエを用いた科学的エビデンス

Ashwagandha New Light on Neurodegenerative Diseases Scientific Evidence Using Drosophila

この記事のネタバレ

  1. アシュワガンダが神経保護作用を持つ可能性がある

    アーユルヴェーダ医学で古くから利用されてきたアシュワガンダには、神経変性疾患に対する保護作用がある可能性が新たな研究で示唆されています。
  2. Drosophila(ショウジョウバエ)を使用した遺伝子疾患モデルによるアシュワガンダの効果の確認

    ショウジョウバエを用いた実験モデルを通じて、アシュワガンダの抽出物が、特定の遺伝子変異を持つ神経細胞に対して有効であることが確認されました。
  3. アシュワガンダの有効性をさらに検証するための研究が期待されている

    アシュワガンダの神経保護効果の可能性は確認されていますが、これをさらに詳細に解明し、遺伝子変異を持つ神経細胞への影響を評価するための追加研究が必要とされています。

「アーユルヴェーダって何?その中でアシュワガンダというものについて知りたい」
「神経変性疾患に対する新たな治療法や予防法ってないのかな?」
アシュワガンダについては聞いたことがあるけど、具体的にどんな効果があるのか詳しく知りたい。」

今回はこんな方々に向けた記事です。

あなたは自然療法や伝統医学に興味がありますか?

特にアーユルヴェーダ、その中でもアシュワガンダについてご存知ですか?

この植物は、3000年以上もの間、多くの治療効果があるとして使用されてきました。

しかし、その神経保護作用については、まだよくわかっていない部分があります。

今回は、ショウジョウバエを用いた2023年の研究を通じて、アシュワガンダが神経変性疾患にどのように作用するのか、その可能性を探ってみましょう。

タップできる目次

そもそもアシュワガンダとは

What is ashwagandha in the first place?

アシュワガンダ(学名:Withania somnifera Dunal)は、数千年前からインドの伝統医療『アーユルヴェーダ』において、心身のストレスに効果を発揮する薬や強壮剤、更には媚薬としても活躍してきたハーブです。

今日では様々な臨床研究を通じ、それらの効果が現代科学にて証明され注目を浴びています。

実物はナス科の常緑低木です。馬の(アシュワ)匂い(ガンダ)が名前の由来。
馬の強壮な精力にちなんだという説も。

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論文の概要

今回ご紹介する論文は、「ヒト神経変性疾患モデルショウジョウバエにおける遺伝的に誘導された運動機能障害および細胞毒性に対する多能性神経保護薬としてのアシュワガンダ(和訳)」です。

項目内容
論文タイトルAshwagandha- Withania somnifera (L.) Dunal as a multipotent neuroprotective remedy for genetically induced motor dysfunction and cellular toxicity in human neurodegenerative disease models of Drosophila
著者Mamatha Nagamadhu Murthy, Baragur Venkatanarayanasetty Shyamala
掲載雑誌Journal of Ethnopharmacology
掲載年2023
論文の概要

はじめに

アシュワガンダと伝統的な薬用効果

アシュワガンダ(学名:Withania somnifera (L.) Dunal)は、インドの伝統医療であるアーユルヴェーダにおいて3000年以上にわたり使用されてきた植物です。

この植物は50以上の活性化合物を持つことで知られ、抗がん、抗糖尿病、抗炎症、抗微生物、神経保護作用など、多様な治療効果を示すとされています。

Drosophila(ショウジョウバエ)を用いた遺伝子的疾患モデルの概要

Drosophila(ショウジョウバエ)は、遺伝学的な実験に理想的な生物モデルで、その遺伝子的規則性と生物学的特性により、人間の疾患の研究に広く用いられています。

特定の遺伝子を特定の細胞に発現させることで、パーキンソン病やアルツハイマー病などの人間の神経変性疾患モデルを作成することが可能です。

アシュワガンダの治療効果を検証するための疾患モデルの必要性

しかしながら、これらの疾患モデルがアシュワガンダのような伝統的な薬剤の治療効果を検証するために十分に利用されていないという課題があります。

これは、試験管(in vitro)で発見された薬剤が臨床試験で失敗する場合があるためで、これは患者間で遺伝的な異質性や生理的な状況が変わるからです。

このため、疾患モデルを用いた実験は、特定の遺伝子状況下でのアシュワガンダの有効性を検証する重要な手段となります。

研究目的

Drosophila(ショウジョウバエ)の遺伝子疾患モデルを用いたアシュワガンダの効果の検証

この研究の目的は、遺伝子組み換えのDrosophilaを用いて、アシュワガンダの治療効果を検証することです。

具体的には、アルファ・シヌクレイン病とタウ病を模倣した遺伝子変異フライモデルにアシュワガンダを投与し、細胞および行動パラメーターの変化を調査します。

遺伝子的状況下でのアシュワガンダの有効性の確認

また、特定の遺伝子状況下でアシュワガンダが効果的であるかどうかを検証することも目的としています。

つまり、in vitro(試験管内)でのスクリーニングで発見された候補物質の効果を、実際の生物(in vivo)で確認することで、その効果をより現実的な状況で検証します。

これにより、アシュワガンダの神経保護効果の広範かつ詳細な解析が可能となります。

研究方法

特定の細胞に人間の病気関連遺伝子を発現させるDrosophila疾患モデルの作成

研究では、まず特定の細胞に病気関連の遺伝子を発現させることで、Drosophila(ショウジョウバエ)の疾患モデルを作成します。

具体的には、ドーパミン神経細胞に人間のα-シヌクレイン変異体(A30P)を発現させることで、ドーパミン神経変性を誘導します。

また、視細胞に人間のタウタンパク質の変異体(TauE14)を発現させることで、視細胞の変性を誘導します。

アシュワガンダ抽出液の投与と細胞および行動パラメータの分析

次に、これらの疾患モデルに対して、アシュワガンダの水抽出物を投与します。

投与は、抽出物を通常の飼料に混ぜて行います。

そして、治療後の細胞および行動パラメーターを分析します。

これにより、アシュワガンダが神経変性疾患に対してどのような影響を与えるのかを評価します。

研究結果

アシュワガンダが提供する寿命延長効果

この研究では、アシュワガンダのルートエキスがDrosophilaの寿命を延長することが明らかにされました。

具体的には、男性のDrosophila、特に本質的にストレス抵抗力が低いものに対して、アシュワガンダのルートエキスが寿命を延ばす効果が認められました。

アシュワガンダによる運動機能障害の改善

更に、この研究では、アシュワガンダエキスが運動機能の障害を大幅に改善することも示されました。

特に、ドーパミン神経細胞で発現した人間のα-シヌクレイン変異体によって引き起こされた運動機能障害が、アシュワガンダにより大幅に減少したことが示されています。

アシュワガンダによる神経変性の低減

さらに、アシュワガンダエキスの投与が、タウタンパク質による神経変性を有意に低減することも示されました。

タウタンパク質

タウタンパク質は、私たちの神経細胞内部で見つけることができる重要なタンパク質です。

その主な役割は、細胞内の輸送システムである微小管の安定化を助けることです。

微小管は神経細胞内で栄養物や他の重要な分子を運ぶ役割を担っています。

しかし、タウタンパク質が正しく機能しないと、微小管が崩壊し、神経細胞が死ぬ原因となることが知られています。

特に、アルツハイマー病の患者では、タウタンパク質が異常に結合して固まります。

これが神経細胞の機能を阻害し、最終的に細胞の死を引き起こします。

特に、タウタンパク質TauE14によって引き起こされる視細胞の変性とミトーシスの停止、そして視細胞の死が、アシュワガンダエキスの投与により有意に減少しました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。最後に今回の記事の内容をまとめて締めたいと思います。

アシュワガンダによる神経保護の可能性と包括的な効果

本研究の結果を通じて、アシュワガンダが包括的な植物療法製剤として神経変性疾患を戦う可能性が明らかになりました。

それは、様々な原因となる遺伝子的欠陥状態に対するアシュワガンダの効果を示しています。

特に神経保護作用に着目すると、アシュワガンダが神経変性疾患の複数の要素に対して対抗する能力を示しました。

Drosophilaを使用したモデルによるアシュワガンダの有効性の検証

また、Drosophilaを使用した遺伝子疾患モデルを通じて、アシュワガンダの効果が客観的に評価され、遺伝子的状況におけるアシュワガンダの有効性が確認されました。

これは、伝統医学におけるアシュワガンダの使用の有効性をさらに裏付ける重要な結果であり、将来の臨床試験への応用を示唆しています。

今回の記事は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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