アシュワガンダが甲状腺のホルモンバランスに与える効果

「”アシュワガンダ　甲状腺”で検索している」

「甲状腺の機能をざっくり知りたい」

「単純に体調が悪い」

この記事は上記のような方々に向けたものです。

この記事では、アシュワガンダで甲状腺のホルモンバランスが改善した研究事例を紹介します。

また、甲状腺ホルモンのバランスを改善するために役立つアドバイスも書いていきます。

甲状腺の健康についての情報をお探しなら、この記事をお役立て下さい。

そもそもアシュワガンダとは

アシュワガンダ（学名：Withania somnifera Dunal）は、数千年前からインドの伝統医療『アーユルヴェーダ』において、心身のストレスに効果を発揮する薬や強壮剤、更には媚薬としても活躍してきたハーブです。

今日では様々な臨床研究を通じ、それらの効果が現代科学にて証明され注目を浴びています。

実物はナス科の常緑低木です。馬の（アシュワ）匂い（ガンダ）が名前の由来。
馬の強壮な精力にちなんだという説も。

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甲状腺とはそもそも何か

甲状腺は、首の付け根にある蝶の形をした腺。

成長、代謝、体温、その他多くの身体機能を調節する甲状腺ホルモンを生成しています。

甲状腺に関わるホルモン

喉頭の下にある甲状腺で分泌されているホルモン。
脳の下垂体でその働き・分泌をコントロールしています。

下垂体

下垂体は、脳の中心近くにある約 1 cm の小さな臓器。体のバランスを整えるホルモンを分泌します。
下垂体は前葉と後葉に分かれており、それぞれが異なるホルモンを分泌。

下垂体では、甲状腺ホルモンの他にも、成長ホルモンや性ホルモン、副腎皮質ホルモンなどを分泌。体の機能と健康を維持する上で重要な役割を果たす器官ですね。

甲状腺ホルモンは、甲状腺ホルモン受容体を介して体内のほぼすべての細胞に影響を与えています。

受容体

ホルモンや神経伝達物質、薬物などの生理活性物質と細胞内部に結合することによって細胞の機能を変化させるタンパク質。この結合によって、細胞内の分子の動きや、細胞の全体の活動が制御されます。

その甲状腺ホルモンであるサイロキシン（T4）とトリヨードサイロニン（T3）、及び甲状腺刺激ホルモンである甲状腺刺激ホルモン（TSH）は、私たちの体の活力に大きな影響を及ぼします。

T3

甲状腺で分泌されるホルモンで、T4が必要に応じて肝臓で変換されます。T3は細胞内で受容体に結合し、細胞のエネルギー生産を促進します。

T4

もう一つの甲状腺ホルモンで、代謝や成長に重要な役割を果たします。T4は必要に応じてT3に変換されます。

TSH

脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン。甲状腺を刺激してT4やT3の分泌を促進します。TSHの量は、甲状腺が正常に機能しているかどうかを示す重要な指標の1つ。

甲状腺ホルモンは、下記のように活躍の範囲が非常に広いホルモンです。

甲状腺の機能を正常に保つには、食事、運動、ストレス管理、サプリメントの摂取など、日々の生活習慣が重要です。

ただ、気をつけていてもどうしようもない時はあります。

自分として適切に対処してもダメなら、恥ずかしがらずに医療機関へ相談が最善。

甲状腺の不調で発生する症状

甲状腺の機能が不調に陥ると、甲状腺ホルモンが十分に分泌されない「甲状腺機能低下症」や、逆に甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう「甲状腺機能亢進症」といった症状が発生します。

いずれの場合にも、様々な症状を引き起こします。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が不足することにより引き起こされる代謝性疾患です。

主な原因は自己免疫疾患で、自己免疫によって甲状腺が破壊されることで甲状腺ホルモンの分泌が減少します。

また、手術や放射線治療による甲状腺の摘出や、ヨウ素不足なども原因として挙げられます。

甲状腺機能低下症の治療法には、甲状腺ホルモン補充療法が採用されることが一般的。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの分泌が過剰な状態を指します。

主な原因は、自己免疫疾患の1つであるバセドウ病（Graves病とも）です。

この病気では、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンの過剰分泌を引き起こします。

甲状腺機能亢進症の治療法には、抗甲状腺薬、放射線治療、甲状腺摘出などが採用されることが一般的。

甲状腺の不調が発生する要因

前項で、甲状腺機能の低下症と亢進症を簡単に紹介しました。

次に、甲状腺の異常が起きてしまう要因を解説したいと思います。

甲状腺の不調は、甲状腺が生産するホルモンの量や質に影響を与えることがあります。

甲状腺の不調の主な要因は以下の通り。

これ以外では、薬物療法の副作用、放射能などの環境汚染が該当。

また、遺伝により、甲状腺の不調になりやすい体質がある可能性も示唆されています。

上記のうち、個人的にアシュワガンダによる効果が大きいと感じるのは「慢性的ストレス」の低減。

ヨウ素の不足に関しては、ヨウ素を多く含む食材（後述）を摂ったほうが確実。

自己免疫疾患の方はそもそもアシュワガンダを絶対にとってはいけません。

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自己免疫疾患

自己免疫疾患は、免疫システムが誤って健康な細胞を攻撃することによって引き起こされます。

甲状腺自己免疫疾患としては、俗に言う橋本病とバセドウ病が有名です。

重ねて言うようですが、自己免疫疾患と診断されたらアシュワガンダの摂取そのものをやめてください。

橋本病

自己免疫疾患の一種。認知能力・記憶力の低下、手や顔のむくみ、喉が腫れて声がかすれる、皮膚の乾燥、対イオンの調節能力の低下、食欲減少、便秘など様々な体調不良が発生。

バセドウ病

自己免疫疾患の一種。甲状腺ホルモンの過剰分泌により代謝が亢進し、さまざまな症状が現れます。主な症状には、目の充血、手足の震え、体重減少、多汗症、心拍数の上昇などがあります。

ヨウ素の不足

ヨウ素は、甲状腺ホルモンの主要な成分。

ヨウ素の不足は甲状腺ホルモンの産生低下に直結します。

食材の例）

海藻類→昆布、わかめ、めかぶ、ヒジキ、アラメ

魚介類→ヒラメ、サバ、イワシ、マグロ、カレイ、タラ

果物：いちご、ばなな

ストレス

ストレスは自律神経の乱れや睡眠不足を引き起こし、甲状腺機能を低下させます。

コルチゾールの過剰分泌が、甲状腺ホルモンの正常な生成や合成を阻害することで甲状腺の機能を低下。

これらはあくまで甲状腺の不調の一般的な要因です。

個々の症例によっては、原因が異なる場合があります。

甲状腺の不調を疑う場合は、医師に相談し、検査を受けるのが最善。

アシュワガンダが甲状腺の機能改善に役立つ科学的な根拠

近年、アシュワガンダが甲状腺機能の低下症に効果的であることが研究で示されています。

甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎても少なすぎても正常値に調節。

ここでは、そのうちの研究を4つ紹介します。

1998年：雌のマウスのサイロキシン（T4）濃度の向上

雌のマウスを対象にした実験。

20日間アシュワガンダを投与した結果、T4（サイロキシン）濃度のみを高めることができたとのこと。

肝グルコース-6-ホスファターゼ（G-6-Pase）活性の上昇を示し、肝脂質過酸化（LPO）の低下や抗酸化酵素の活性の上昇によって示される抗酸化作用が認められた。

雌のマウスの甲状腺機能を刺激することができるようだと結論。

マウスは人間は生物学的な構造が似通っていることから、マウスでの実験結果は人間の代替として用いられます。

肝グルコース-6-ホスファターゼ（G-6-Pase）

肝臓で合成される酵素。グルコースを分解するための重要な役割を果たします。

肝脂質過酸化（LPO）

肝臓で発生する酸化ストレスの一形態。脂質の過酸化反応によって過酸化物質が蓄積し発生。

抗酸化酵素

酸化ストレスに対抗するために体内で合成される酵素。様々な形態の酸化物質を中和することが可能。

PubMed

Withania somnifera and Bauhinia purpurea in the regulation of circulating thyroid hormone concentrat… The effects of daily administration of Withania somnifera root extract (1.4 g/kg body wt.) and Bauhinia purpurea bark extract (2.5 mg/kg body wt.) for 20 days o…

2000年：複数の論文レビューで健康効果が高評価

複数の論文を併せて精査。

その結果、アシュワガンダは下記の特性を持つと研究で示されました。

上記のほかでは、内分泌系、心肺系、中枢神経系にも好影響を及ぼすとのこと。

これらの特性の作用機序は完全には解明されていないが、アシュワガンダは安全な化合物であることが明らかとのことです。

PubMed

Scientific basis for the therapeutic use of Withania somnifera (ashwagandha): a review – PubMed Preliminary studies have found various constituents of ashwagandha exhibit a variety of therapeutic effects with little or no associated toxicity. These results…

2018年：無症候性の甲状腺機能低下症患者を正常化

アシュワガンダによる治療は、無症候性甲状腺機能低下症患者の甲状腺指標を正常化するのに有益である可能性があると示唆。

この研究では、アシュワガンダが甲状腺機能低下症に効果的であることを強調しています。

PubMed

Efficacy and Safety of Ashwagandha Root Extract in Subclinical Hypothyroid Patients: A Double-Blind,… Treatment with ashwagandha may be beneficial for normalizing thyroid indices in subclinical hypothyroid patients.

この研究については、下記の記事で詳しく紹介しています。ぜひ御覧ください。

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2023年：甲状腺機能低下症ラットの症状を改善

甲状腺機能低下症ラットが対象の実験。雄ラット40匹をAグループとB1、B2、B3グループに分割。

B群は薬物で意図的に甲状腺機能低下症にしています。

レボチロキシンは、甲状腺機能低下症の治療に用いられる薬品。

試験終了後、全グループで超音波検査機器を用いて顎下腺を評価した。

• B1：腺全体の大きさの増加、ハニカム状の外観と低エコー領域を持つ不均質な腺
• B2：B3と比較して、その抗酸化作用により腺の大きさとエコー質がわずかに改善

わずかながら、アシュワガンダを投与したグループが一番改善が見られたということですね。

アシュワガンダを摂取する際のポイント

ここまでアシュワガンダが甲状腺の健康に役立つことを研究結果を元に解説してきました。

この記事を読んで、「アシュワガンダを試してみよう」と感じてくれている方もいるかと思います。

しかし、この記事で繰り返しお伝えしているように、甲状腺の健康のためにアシュワガンダを使用したい場合、まず医師に相談することを忘れないようにすることが大切。

実際に摂取を開始した際には、ラベルに記載されている服用方法・推奨される量を守りましょう。

また、サプリメントだけに頼らず、加工食品や砂糖を控えたバランスの良い食事、運動や十分な睡眠をとるのも重要。

サプリを摂って完全に安心してしまうのは危険なパターン。

摂取の仕方については下記のページを参考にしていただけると幸いです。

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まとめ：甲状腺の健康改善にアシュワガンダは検討する価値あり

いかがでしたでしょうか。最後に今回の記事の内容をおさらいして締めたいと思います。

今回ご紹介したように、アシュワガンダは甲状腺ホルモンバランスの改善に有効、かつ安全性の高いハーブであると数々の実験が証明済み。

甲状腺の健康を改善する上で、アシュワガンダは検討する価値があると思います。

ただし、この記事でも何度か触れているように、サプリメントを摂取する前に、必ず最初に医師に相談してください

また、サプリメントだけではなく、正しい食事、ライフスタイルの継続が甲状腺の健康を守る上で一番確実です。

それでは今回の記事は以上です。ありがとうございました。

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